今日は仕事は休日。
母の介護に関する用事もなく、久々に丸一日予定ナシ。
予定より延びに延びた夏野菜の植え付けを完了させた。
今でこそ野菜を植えてみたり花を育ててみたりするが、こんな風になるとは想像だにしていなかった。
以下、長い回顧(汗)挟みます。
私が生まれ育ったのは地方都市の中心部の端っこである。
家には1.5坪ほどの小さな小さな家庭菜園があり、母親は季節になると商店街の小間物屋さんが細々と取り扱っていた野菜苗を買ってその畑に植えていた。植えたが最後、世話などほとんどしない人だったので茄子だかトマトだかの野菜が一つでも収穫できれば大騒ぎ、家族の大ニュースだった。
同級生で野菜を育てている家など知らなかったので、ある時期まで私は「ウチの母親は野菜を密造している」と本気で思い込んでいた(笑)。
家で収穫された一つ二つの野菜を「レジを通っていない野菜」として後ろ暗い気持ちで食べたことを覚えているw
また母は年中行事にこだわる人で、私たちが幼い頃、七夕前にはこれまた商店街の小間物屋さんから笹を購入し、自転車にくくりつけて帰ってきた。古く小さい家に、年によっては3メートル弱くらいの笹が飾られたw。
「里芋の葉先からしたたる滴で摩った墨で短冊に願い事を書くと字がきれいになる」と毎年聞かされたが、里芋の葉など手に入らないので代わりとして選ばれたツユクサの滴で墨を摩っていた(笑)。子供たちが大きくなるにつれ行事は大幅に簡略化されていったが、私は一年に何回かはこの不思議な思い出を振り返らずにはいられない。
思えばその頃の母は彼女なりの精一杯で、子供たちに感性の種を蒔こうとしていたのだろう。
さて、現在。
昨日手にした藤田みどりさんの著書『北鎌倉のお庭の台所』を読んでいて、先ほど書いた子供の頃の記憶が鮮明に浮かんできた。母の心の種蒔き。
著書のなかには豊かな自然、豊かな料理が、豊かな知恵とともに載せられている。
私には料理本を買うのが趣味のような時期があり、「素敵で抑制された雰囲気の料理本=ハードルが高いお料理が載っている観賞用(←あくまで私にとって)」という刷り込みがあったので、あまりに素敵な表装に正直ちょっと構えたが、ページをめくるとそこには普段料理をしない人でも気軽に作れそうな果実、ハーブ、野菜の料理が美しい写真と親身な文章で載っていた。私は普段植物に接する機会が多いので、「ソコ知りたい!」と育てる上での気になるポイントが絶妙に描かれていると感じた。
そしてこれだけの情報と経験値を持つ方がご自身の膨大な引出しをこの一冊の本にまとめるにはどれだけのものを削ぎ落とし、苦心されたのだろうかと勝手に想像してしまう。読む人に伝わるように、手にした人に幸せが届くように、藤田さんの思いが伝わってくるような一冊だった。興味を持たれた方にはぜひ手にしていただきたいと思う。
さて、未来。
藤田さんの本の中で料理以外で興味を持ったのが落花生の栽培(↓写真はお借りしています)
畑に植えられればベストだけど、狭い畑は本日を以て満員なので、鉢に蒔こうかな。
調べてみると蒔き時は6月上旬まで(ギリいける!)、フムフム株間は30㎝(よし、一粒だな!笑)。
一粒の種からいい未来が開けますように。
現在・過去・未来はつながっているから、そんな願掛けをしながらいきたいと思う。